足場の仕事は体力と集中力を要しますので年齢を重ねたときに継続して働くことができるか心配に思われている方も少なくないでしょう。
足場の仕事は危険を伴う高所作業ですが、何歳まで従事することができるのでしょうか。
このページでは足場職人は何歳まで働くことができるのか、足場職人の年齢制限について解説します。
足場の現場では65歳以上の方も多く活躍中
実は建設業界は年齢の高い人の割合が多く、65歳以上でも多くの方が足場作業員として活躍しています。
高所作業には法的な年齢の上限は設けられていません。
したがって、何歳になっても働くことができます。
しかし、年齢を重ねると若い時代に比べて判断力や集中力、体力が低下してきますので、会社側が年齢制限を設けているケースはあります。
18歳未満は労働制限がある
高所作業では年齢の上限はありませんが、18歳未満の方は高所作業が法律で制限されています。
労働基準法に規定された年齢制限
労働基準法では児童の健康と福祉の確保の観点から原則として満15歳に達した日以降の最初の3月31日が終了するまで労働者として使用することを禁止しています。
さらに18歳未満の年少者についても就業に関してさまざまな制限があります。
足場関係の制限
年少者労働基準規則では18歳未満の年少者を使用して足場の作業に従事させることを禁止しており、違反した場合は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
具体的に禁止されているのは以下の業務です。
・高さ5メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務
・足場の組立て、解体又は変更の業務(地上又は床上における補助作業の業務を除く)
18歳未満は足場の組立て、解体、または変更を行うことができませんので、足場の組立て等特別教育は一般的には18歳以上が受講します。
もし、特別教育を18歳未満で受講した場合は修了証は18歳になってから交付されます。
足場職人の年齢を重ねたときの働き方
足場職人は定年まで現場でバリバリ活躍される方もいらっしゃいますが、体力を伴う仕事の為、多くの人にとっては同じように現場で作業するのは難しいと言えるでしょう。
足場職人のキャリアパスとしては以下のようなものが考えられます。
・現場で活躍し続ける
・親方や管理職など、現場やスタッフを管理する立場になる
・営業職や総務・人事などの事務方に回る
将来の体力面を考慮すると、管理職を目指したり、社内の他の部署での活躍を目指したりするのが一般的です。
中には他業種の営業職として活躍される方もいらっしゃいますし、同じ会社で別の役割を担当する方もいらっしゃいます。
事業所が行う高齢作業員に対する対策
高齢の作業員が働くことに関する法的な年齢制限はありませんが、危険性が高い高所作業を伴いますので、事業所でさまざまなルールを作り、安全に作業できるように工夫する必要があります。
具体的には以下のような対策を行っている事業所があります。
・高齢作業員に対して高所作業の制限
・高齢作業員対象の特別教育
・段差の解消や手すりの設置などの転倒災害防止対策
・重量物の取り扱に関する配慮
・作業時間の配慮
・暑さ・寒さなど天候に関する配慮
・健康チェックなどの促進
職長としてのキャリアアップのために準備しておくことも大切
足場職の職長、管理職を視野に入れる場合、早いうちからキャリアアップのための準備をしておくことが大切です。
具体的には資格を取得したり、職場でさまざまな経験ができるよう、積極的に動いたりすることで将来の準備ができます。
特に資格は職長として必須のものもありますので、なるべく早めに準備をして資格を取得しておくようにしましょう。
足場職人のキャリアアップのための資格
足場の組立て等作業主任者
吊り足場や張り出し足場、高さが5メートル以上の足場の組立てや解体などに関する作業について、事業者は足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者のうちから各作業区分に応じて作業主任者を選任し、その者の指揮のもとに作業を行わせなければなりません。
作業主任者は作業の直接指揮等を行う資格で、足場事業者にはなくてはならない資格者です。
作業主任者技能講習の受講資格は足場の解体又は変更の作業に3年以上従事した経験を有する者となりますので、足場作業を3年経験したら作業主任者の資格を取る心づもりで日々の仕事に取り組むようにしましょう。
とび技能士(1~3級)
とび技能士は鳶職としての技能を認定する国家試験です。
3級はあまり難易度は高くありませんが、1級は難易度が高く、1級を取得していると鳶職としての技能の高さが認定されます。
また、1級を取得していると鳶親方としても独立が可能です。
仮設工事施工安全監理者/仮設工事設計安全監理者
建設現場の足場の安全監理・点検を行う人向けの資格です。
仮設工事施工安全監理者は主に現場の足場を点検する資格、仮設工事設計安全監理者は現場での点検に加え、計画段階での足場設計の確認や点検をする資格です。
足場の組立て等の業務に係る特別教育講師養成講座
「足場特別講師養成講座」とも呼ばれ、足場の現場から特別教育の講師へと転向される方向けの資格です。
足場の作業方法に加え、次世代への教育方法を習得します。
足場業界の若手を育てたい方におすすめの資格です。
その他の資格
その他、足場に関する資格として「玉掛特別養育」「フォークリフト」「フルハーネス型安全帯使用作業特別教育」「中型自動車免許」などがあります。
建設関連の資格はたくさんあるので大変ですが、仕事の幅を広げるためにも積極的に資格にチャレンジしていくと良いでしょう。
年齢に合わせたキャリアを意識することが大切
足場の現場では年齢制限がなく、実際に65歳以上の方でも活躍している方は多くいます。
しかし、誰しもが年齢を重ねても現場で体力仕事ができるとは限りません。
そのため、管理者や他の部署での仕事に転向するなど、体力的にきつくなった後の働き方を意識して事前に準備をしておくと安心です。
建設業界ではキャリアアップに役立つ資格が多数あり、資格があることで仕事の幅が広がります。
資格取得を積極的に行うなど、将来の選択肢を増やして活躍の幅を広げる準備をしておくと良いでしょう。