ある一定の条件以上の規模の足場の組立て・解体等の作業を行う場合
現場で作業者に指揮監督を行う作業主任者を任命しなければなりません。
作業主任者を務める為には「足場の組立て等作業主任者技能講習」を修了している必要があります。
そこで、作業主任者技能講習の内容、受講資格、修了試験などについてご紹介します。
「足場の組立て等作業主任者技能講習」とは
つり足場(ゴンドラのつり足場を除く)
張り出し足場又は高さが5メートル以上の足場の組立て・解体または変更作業を行う場合は
事業主は「足場の組立て等作業主任者技能講習」を修了した人員を作業主任者として任命し
その者の指揮の下に作業を行わせなければなりません。
その作業主任者は「足場の組立て等作業主任者技能講習」を修了している事が必須となります。
技能講習は足場作業でキャリアアップしたい方におすすめ
作業主任者の資格があると建設会社などでの就職が有利になる可能性が高く
足場工事のキャリアアップを目指す事ができます。
足場工事は単純な肉体労働ではなく、その環境や条件に適した足場を作るために
柔軟さと臨機応変さが求められ、身体と同じくらい頭も使います。
作業主任者の仕事は、は現場の状況に応じて最適な足場を安全で効率的に組み立てること
安全な足場工事を監督し労働者や周辺の人の命を守る事です。
とび職には必須の資格であり、人手不足のとび職では有資格者の待遇が優遇される事も期待出来ます。
作業主任者技能講習の受講資格
受講資格は下記3つのいずれかに当てはまる方です。
1.満21歳以上で足場の組立て・解体または変更に関する作業に3年以上従事した経験を有する者
※年少者労働基準規則に基づき、満18歳に達してからの経験年数が3年以上
2.大学、高等専門学校、高等学校において土木、建築又は造船に関する学科を卒業した方でその後2年以上足場の組立て、解体又は変更に関する作業に従事した経験を有する者
3.その他厚生労働大臣が定める者
作業主任者技能講習の講習内容
作業主任者技能講習のカリキュラムは基本的には以下となります。
・作業の方法に関する知識…7時間
・工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識…3時間
・作業者に対する教育等に関する知識…90分
・関係法令…90分
・学科試験…60分
講習は全2日間
1日目:学科7時間
2日目:学科6時間、修了試験60分
となります。
作業主任者技能講習が免除となる方
作業主任者技能講習には免除規定・免除区分があり
ある一定の条件を満たした方は講習の一部の科目が免除となります。
講習の免除対象となる条件は以下となります。
・職業訓練終了後に足場作業に2年以上従事した経験のある者
・とびに係る1級又は2級の技能検定に合格した者
上記のいずれかに該当する方は通常13時間の講習が3時間となります。
・とび科の職種に係る職業訓練指導員免許を受けた者
上記に該当する方は講習が90分となります。
免除される科目は以下の通りです。
・免除なし:
作業方法に関する知識(7時間)、作業環境に関する知識(3時間)
作業者の教育等に関する知識(90分)、関係法令(90分)、学科試験(60分)
・職業訓練終了後に足場作業に2年以上従事した経験のある者:
作業方法に関する知識(免除)、作業環境に関する知識(免除)
作業者の教育等に関する知識(90分)、関係法令(90分)、学科試験(60分)
・とびに係る1級または2級の技能検定に合格した者:
作業方法に関する知識(免除)、作業環境に関する知識(免除)
作業者の教育等に関する知識(90分)、関係法令(90分)、学科試験(60分)
・とび科の職種に係る職業訓練指導員免許を受けた者:
作業方法に関する知識(免除)、作業環境に関する知識(免除)
作業者の教育等に関する知識(免除)、関係法令(90分)、学科試験(60分)
免除を受けるには修了証の写しなど条件を満たしている事を示す書類の提出が必要です。
必要書類
・受講申し込み書
技能講習の主催者により異なります。
・証明写真1枚
縦3㎝×横2.4㎝
申込時から6カ月以内に撮影したもの
・本人確認書類のコピー
・受講料金
・講習が免除となる方は修了証、免許証の写し
全ての講義終了後に認定試験がある
試験の合格率
試験は3択または5択の選択式です。
修了試験の合格基準は全科目合計で60点以上、かつ各科目40%以上の正解率で合格となります。
合格率は100%に近いと言われており、きちんと講義を聞いていれば合格するレベルです。
講習中に試験に出る場所、ポイントなどは教えてもらえますので講義をしっかりと聞いて受験しましょう。
もし不合格になったら
もし試験で不合格になった場合、再試験を受ける事ができます。
その際再受験料金が必要です。
特別教育と技能講習の違いとは
作業主任者技能講習と混同されやすいのが
「足場の組立て等特別教育(足場特別教育)」です。
簡単に違いを言いますと
特別教育は、足場の組立て・解体・変更の作業に従事するすべての方が修了していなければならない講習です。
技能講習はある条件以上の足場工事を行う場合に選任される作業の監督者となる為の資格です。
足場特別教育は労働災害の防止を強化する為に労働安全衛生規則が一部改正され
平成27年7月1日から受講が義務化されました。
特別教育を受講していないと罰則の対象となりますので
足場の組立て・解体・変更に従事する作業員は必ず受講し、修了証を受領してから作業にあたらなければなりません。
特別教育は講義が計6時間と1日で終了し、学科試験はありません。
講義を全て受講した後、交付される修了証の受領をもって資格取得となります。
足場作業主任者には能力向上講習もある
建設業界での労働災害防止の観点から労働安全衛生法では
事業者は足場の組立・解体等の作業を行う際、作業主任者を任命し
能力向上教育を受講させるよう規定されています。
平成21年6月1日の労働安全衛生法の改正に伴い、足場の組立て等の点検実施者について
「足場の組立て等作業主任者能力向上教育」を受講している等
十分な知識・経験を有する者を指名することが求められています。
受講資格は
・作業主任者の資格を取得後5年程度経過している
・前回の能力向上教育を受けてから5年程度経過している
・その他、作業主任者の資格があり受講を希望する方
です。
現在、足場の点検実施者の指名については法令上、資格に関する定めはありませんが
今後、受講の必要の可能性は高まると言われています。
足場作業者のステップアップになる資格
作業主任者はある一定以上の規模の足場では必須ですので
作業主任者技能講習を取得していれば作業員の監督者として仕事の幅が広がり
キャリアアップにつながります。
もちろん、資格を取得したからと言って作業主任者として働けるわけではありません。
会社が資格取得者の中から各現場の作業主任者の選任を行いますので
選任を受ければ実際に主任者として働く事ができます。
とはいえ、社内での活動の幅を広げる可能性がありますので
現在足場作業に従事している方はステップアップの為に受講資格をクリア次第
技能講習を受講してみてはいかがでしょうか。