平成27年7月より足場に関する法改正が施行されました。
この法改正では足場の組立て・解体・変更等の作業に関わる人は
「足場の組立て等作業従事者特別教育」の受講が義務付けられました。
それと共に足場の点検についても規制が強化され、足場の工事を行う業者だけでなく
元請け業者も点検が義務付けられました。
ここでは、足場の点検に必要な資格をご紹介します。
元請け事業主等に足場点検の義務化
足場点検の義務化
平成27年7月に施行の労働安全衛生規則の改正では、これまでの事業者による点検に加え
注文者・元請け事業主等にも足場の点検が義務付けられました。
これまでは組立・変更を行った業者による点検が必要でした。
法改正では、足場の組立・変更等を行う足場工事会社に加えて
注文者、元請け業者も点検することが必須となったのです。
点検を行うタイミングは、その日の作業を開始する前、組立て後や変更・一部解体の作業の後などです。
つまり、「足場の組立て、一部解体若しくは変更の後」
「足場における作業を開始する前」に足場の状況を点検し
危険箇所があれば速やかに補修しなければなりません。
また、悪天候後も点検を行う必要があります。
点検を行う人
足場の点検を行う者は「十分な知識・経験」を有する者で
組立て等の作業の当事者以外の人物がリストに基づき点検を行います。
十分な知識・経験を有する者とは以下の資格を保有する人です。
・足場の組立て等作業主任者能力向上教育受講者
・労働安全衛生コンサルタント(土木又は建築)
・計画作成参画者資格取得者
・仮設安全監理者資格取得者
・施工管理者等のための足場点検実務研修受講者
上記の資格のいずれかを持っている方が足場の点検を行うことができます。
また、平成27年7月の法改正では点検記録の保存が義務化されました。
元請け事業主の点検者は足場点検の結果や修理等の措置内容を記録し
足場の使用が終了するまでの間、保存することが義務付けられています。
違反の場合は罰則がある
義務違反の場合、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
点検を怠ると罰則の対象となりますので、点検者の選定など社内ルールを徹底する必要があります。
足場の点検を行うには一定の知識と経験が必要です。
以下の項からは足場の点検に必要な知識・経験を有するとして
挙げられている資格の中から主要なものをご紹介します。
足場の組立て等作業主任者能力向上教育
労働安全衛生法では「足場の組立て等作業主任者」の資格を保有している人は
「足場の組立て等作業主任者能力向上教育」も受講することが定められています。
能力向上教育は作業主任者資格取得後5年程度経過を目安に受講します。
また、その後5年おきに受講する必要があります。
受講対象者
足場の組立て等作業主任者
・修了から5年程度経過している方
・能力向上教育を受けてから5年程度経過している方
・その他受講を希望される方(作業主任者未受講者は受講不可)
能力向上教育は「作業主任者」向けの講習ですので
作業主任者でないと受講することができませんので注意が必要です。
講習内容
最近の足場、部材等及びそれらの選択と管理…1時間
足場の組立て等安全施工と保守管理…4時間
災害事例及び関係法令…2時間
合計7時間
講習は労働安全衛生規則の足場等関係の改正部分を中心に行われます。
仮設安全監理者
全国仮設安全事業協同組合が開催する足場安全点検のプロの資格です。
仮設安全管理者の資格保有者は
建設現場で組み立てられた足場・型枠支保工等の安全点検を実施するために必要な専門知識を有しています。
足場の点検を第三者の目で行いますので
現場では気づきにくい不具合の発見率を高めることができます。
受講対象者
下記のいずれかの資格をお持ちの方
・足場の組立て等作業主任者講習修了者
・計画作成参画者
・建築士(一級・二級・木造)
・建築施工管理技士(一級、二級)
・土木施工管理技士(一級、二級)
・技術士・技術士補(建設部門)
講習内容(足場編)
【共通科目】
第1章 概説・労働災害の現状・行政の取組み
第2章 組合の目的と安全事業
第3章 組合が推奨する仮設安全機材装備の具体的施策(安全点検について・実施報告書の書き方)(1~3章で2.5時間)
第4章 養生関係の基礎知識(1.5時間)
第10章 関連法令・労働安全衛生法・労働安全衛生規則・建築基準法関係など(0.5時間)
共通科目試験第1~4・10章(0.5時間)
【専門科目】
第5章 足場の基礎知識(2時間)
第6章 専用足場(1時間)
専門科目試験第5~6章(0.5時間)
第7章 システム足場(1時間)
専門科目試験第5・7章(0.5時間)
第8章 建て方足場(1時間)
専門科目試験第5・8章(0.5時間)
合計11.5時間
足場点検実務者研修
建設工事の施工管理の実務に従事した経験のある者
及び店社の安全衛生部門で足場の設置計画書の審査・工事現場の安全パトロール等の業務を担当している者で
安全衛生規則に基づく足場の措置や点検を行う者に対する教育です。
受講対象者
・建設工事の施工管理の実務に3年程度従事した経験がある者
・店社の安全衛生部門担当で工事現場の安全パトロール等の業務担当者として3年程度の経験がある者
・事業者の代理人として足場にて作業を行う3年程度の経験を有する職長等
講習内容
基本の知識…災害事例と関係法令1時間
各種足場の知識…足場の組立て等の安全施工と保守管理3時間
合計4時間の講義を受講することで資格を得ることができます。
足場点検は有資格者の育成も必要
足場点検は足場工事業者による点検に加え、注文者・元請け事業主等にも点検が義務付けられています。
つまり、足場工事業者と注文者両者で点検することにより、足場の安全対策がより強固なものとなります。
点検をスムーズに行えるよう、社内の人員配置はもちろん、点検ができる有資格者の育成も重要です。
また、足場は構造が年々変わっている部分があったり、安全のための法改正も度々行われています。
常に新しい知識にブラッシュアップするために必要な講習を受講したり、情報を取得することが大切です。
社内で新しい情報を共有できる環境を整えておくだけでなく、積極的に資格取得や教育を推進することが大切です。