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足場の組立等の作業に必須の「足場特別教育」とはどんな資格?

足場は建築現場に欠かせない設備ですが、足場の組立て、解体、変更の作業に従事するには、「足場の組立て等作業従事者特別教育」の資格が必要です。

 

足場の組立てにかかる業務では必須の資格となり、資格を持っていないまま作業にあたると罰則の対象となりますので足場作業員は資格を取得しておく必要があります。

 

この記事では「足場の組立て等作業従事者特別教育」とはどんな資格なのか、解説します。

 

足場の組立て等作業従事者特別教育とは

足場の組立て作業は適切な部材を使用し、設置基準に合った足場の組立てを行うこと、作業時の安全対策を図ることが重要です。

 

しかし、足場の現場では以前から墜落事故や飛来落下物による災害、組立ての不備等による足場の倒壊災害が多発しており、厚生労働省の報告では建設業における墜落・転落事故のうち、足場からの事故は平成22年の約13%から平成25年には約15%に増加していました。

 

そこで、労働災害を未然に防ぐ為の措置として、労働安全衛生規則が一部改正され、「特別教育」の受講が義務化され、平成27年7月1日以降は足場の組立て等の作業に従事する者は特別教育を修了していなければ業務に就くことができなくなりました。

 

足場特別教育の講習内容

足場特別教育は6時間の講習が必要です。
カリキュラムは以下となります。

 

1.足場及び作業の方法に関する知識…3時間
2.工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識…30分
3.労働災害の防止に関する知識…1時間30分
4.関係法令…1時間

 

全ての科目を受講後、修了証の発行を受けて資格取得となります。
修了試験等はありませんが、講習内容は重要なものですので、しっかりと聞いておきましょう。

 

足場特別委教育の受講資格

特別教育には受講資格はなく、どなたでも受講することができます。
ただし、足場の組立てや解体の実務に就くのは18歳以上と法律で定められていますので、修了証の発行は18歳になってからとなります。

 

足場特別教育の受講方法

特別教育は主に3種類の受講方法があります。

 

出張講習により社内で研修を受けられたり、受講料が割引となる場合もありますので、受講を申し込む前に事業所に確認しておきましょう。

 

建設労働災害防止協会の都道府県支部

各都道府県に支部を持つ建設業の労働災害防止を目的として設立された団体です。
特別教育の受講料が比較的安いのが特徴で、勤務する会社が団体の会員の場合、受講料が割引となります。

 

労働技能講習協会

建設に関係するさまざまな講習を開催しており、企業への出張講習も行っていますので、社内で受講できます。

 

Web講座

オンライン上の動画やDVD、テキストを使って自宅で講習が受けられる口座です。

会場に行く必要がないため、日常業務や家庭の事情で忙しい方に向いています。

 

ただしWeb講座のみeラーニングシステムによる最終試験があり、合格した場合に修了証が発行されます。

 

「特別教育」と「作業主任者技能講習」の違い

足場特別教育でよく混同されがちなのが「作業主任者技能講習」です。

 

足場特別教育は作業者の安全教育という位置づけになっており、足場の組立て等に関わる業務をする人は全員が取得している必要があります。

 

一方、作業主任者技能講習は足場の現場の「指揮監督者」になるための講習です。
吊り足場、張り出し足場、高さ5メートル以上の足場の組立て、解体、変更作業において、作業者を指揮・監督する者を養成します。

 

作業主任者は特別教育の上位資格と考えておけば良いでしょう。

 

特別教育を受講せずに作業を行うと罰則の対象に

もし、足場特別教育を受講せずに足場の組立て等の作業をした場合は罰則対象となり、安衛法第119条により「懲役6か月以下若しくは50万円以下の罰金」が科されます。

 

特別教育は「建設事業主等に対する助成金制度」の対象

「建設事業主等に対する助成金制度」とは建設業に携わる中小企業の事業主が従業員に技術向上のため、技能講習・特別教育・安全衛生教育を受講させた場合に、その一部が事業主に対して助成される制度です。

 

足場の特別教区は助成金制度の対象となります。

対象となる事業主は建設労働者を雇用して建設事業を行う事業主です。

 

足場作業で活躍するための関連資格

足場の現場では「特別教育」のほかに必要な資格が多数あります。

 

資格を取得しておくと責任者として活躍できたり、業務の幅を広げることができます。
空き時間を上手に利用して対策を行い、資格取得の準備をしておきましょう。

 

足場の組立て等作業主任者

吊り足場(ゴンドラの吊り足場を除く)、張り出し足場または高さ5メートル以上の足場の組立て、解体、または変更の作業場所で指揮・監督する作業主任者に必要な資格です。

 

足場の組立て等の作業に3年以上従事した人が受講可能です。

 

建築物等の鉄骨組立て等作業主任者

高さ5メートル以上の鉄骨や金属製の足場の組立て・解体、それに関する作業を行う現場で労働災害の防止などを行う指導監督者に必要な資格です。

 

受講資格は建築物の骨組みまたは塔であって金属部の部材により構成されるものの組立て・解体または変更の作業に関する作業に3年以上従事した人です。

 

とび技能士

鳶作業の段取りや仮設の建物の組立て・解体、掘削、土留め、地業等、とびに関する技能を認定する資格です。
とび技能士には1~3級があり、特に1級は高い技能と経験があることを証明することができます。

 

フルハーネス型墜落防止用器具取扱特別教育

高さ2m以上の箇所であって、作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型を用いて作業を行う場合はこの特別教育を修了している必要があります。

 

また、一連の作業において、一部作業床を設けることが困難な場所があり、フルハーネス型を使用する場合もこの特別教育の対象となります。

 

足場の組立て等の作業では足場特別教育が必要

足場の組立て等に関する作業に従事する場合、足場特別教育を修了している必要があります。
未経験で足場作業員として働く場合、まず特別教育を受講することになりますので、会社に受講方法などを相談するようにしましょう。

 

また、足場の現場を始めとした建設業ではさまざまな資格が必要です。
スキルアップのためや仕事の幅を広げるために日頃から空き時間を使って、資格取得の準備を進めておくようにしましょう。