足場は図面を作成し、図面に基づいて組み立てを行います。
また、一定の条件を満たす足場を設置する場合は労働基準監督署に設置届を提出しなければならず、図面をはじめとした書類を添付しなければなりません。
この記事では、足場図面の種類や、足場設置の届出の必要書類、参画者の資格などについて解説します。
足場図面の種類
平面図
平面図は足場を水平に切断し、上から見た姿を示す図面です。
建物の形状と足場の形状、部材の配置などを読み取れます。
また、人や車両を通す開口位置やタワークレーン、工事用エレベーター、仮囲い、入場ゲートなど、人や車両の動線も分かるように作成します。
足場の全体像を把握するのに適しています。
立面図
立面図は足場の外観を横から見た姿を示す図面です。
矢視的に足場の確認ができ、足場の階数など高さに関する情報や、開口の位置、壁つなぎ、建地単管補強なども明確に表現できます。
タワークレーンや工事用エレベーターなども入れ、平面図の内容を連携させて完成させます。
通常は建物に合わせて四角形の仮設足場を設置するため、東西南北4面の立面図ができます。
詳細図
詳細図は平面図と立面図を拡大した図面です。
足場の細かい部分の確認ができ、足場の組み立てに関する細かい手法や壁つなぎ、建地補強、落下養生の設置状況などを分かりやすく示します。
足場は現場によって使う部材が異なるケースも多くありますので、十分検討したうえで作成します。
足場設置の届出
足場の設置には、所轄労働基準監督署に対する足場の設置届を行わなければならない場合があります。
足場の設置届は正式名称を「機械等設置届」と呼び、次のような場合に届出が必要です。
①吊り足場または張出し足場(組み立てから解体までの期間が60日未満のものは除く)
②上記以外の足場で高さが10m以上のもの(組み立てから解体までの期間が60日未満のものを除く)
設置する予定の足場が上記いずれかに該当する場合は、工事開始日の30日前までに、工事現場を管轄する労働基準監督署に届け出る必要があります。
足場設置の届出に必要な書類
足場設置の届出に必要な書類は「機械等設置届(様式第20号)」のほか、各種図面などの添付書類が必要です。
機械等設置届(様式第20号)
機械等設置届(様式第20号)は、厚生労働省、都道府県労働局などのホームページからダウンロードできるほか、労働基準監督署から取り寄せられます。
添付書類
案内図
工程表
平面図
立面図
詳細図
足場部材等明細書
構造計算書
など
足場設置図を作成する参画者の資格
足場設置届が必要となる場合、以下に該当する有資格者のいずれかを工事計画に参画させる必要があります。
①足場の仕事に係る工事の設計監理または施工監理の実務に3年以上従事した経験を持つ
②建築士法第12条の1級建築士試験合格者である
③建設業法施工令第27条の3に規定する1級土木施工管理技術検定または1級建築施工管理技術検定合格者
④その他労働大臣が定めたもの
⑤労働安全コンサルタント試験合格者で、その試験区分が土木または建築である者
道路占用許可の申請では足場設置届の控えが必要な場合がある
工事用足場を道路上に出す場合は、道路管理者の道路占用許可が必要になります。
道路占用許可は申請する道路管理者によって必要書類が大きく異なり、道路管理者によっては申請時に足場設置届の控えが必要な場合があります。
足場の図面作成に必要な知識
足場の図面を作成するうえで必須の資格は特にありません。
しかし、CADの知識が必要となります。
CADは、参考書などを見ながら独学で習得することも可能ですが、効率的に知識を得るためにはスクールや通信講座などを活用すると良いでしょう。
足場の図面作成には建築施工管理技士の資格が役に立つ
足場の図面を作成するのに役立つ資格の1つに、「建築施工管理技士」があります。
建築施工管理技士は、国家資格である施工管理技士のうちの1つで、建設工事の現場で工事全体の進行を指示し、現場の監督を担います。
建築施工管理技士の仕事内容
建築施工管理技士は建設現場の現場監督や現場代理人としての仕事を行います。
工事の発注者や設計者との打ち合わせ、現場の職人の監督・指導が主な仕事です。
建築施工管理技士は広く多様な仕事をすることになりますが、仕事内容は大きく4つあります。
・施工計画
建設工事が設計図通りに、予算内に、かつ安全に行うための工法を計画します。
工事協力業者の選定や現場やその周辺の調査、解体・掘削等で発生する資材の抑制・再利用・再資源化の計画や廃棄物の運搬場所の計画を行います。
・工程管理
工事が予定通りに進行するように管理します。
現場で行われる工事内容を把握し、工事に関わる職人の工程を組みます。
・安全管理
建設現場の安全管理は欠かせません。
作業員や周辺住民、通行人にとって安全に工事が進むよう、関係者への安全教育や点検等、建設現場全体の安全管理を行います。
・品質管理
建設現場における品質管理は、設計図で示された内容を満たすことを示します。
予算に合わせて資材や仕上げの程度、性能等の目標を計画し、実行します。
建築施工管理技士には1級と2級がある
建築施工管理技士には1級と2級があり、管理する現場の規模が異なります。
・1級建築施工管理技士
管理する工事の規模に上限はなく、高層マンションや大型ショッピングセンター、屋外競技場、公共施設等、大規模な工事にも関わります。
・2級建築施工管理技士
中小規模の建設工事を管理できます。
また、2級の試験は「建築」「躯体」「仕上げ」の3種類に分かれており、すべてを管理するためには3種類すべての試験に合格する必要があります。
足場の図面は重要な書類
足場を設置するうえで図面は重要な書類です。
また足場設置届を提出する際には図面の添付が必要になります。
足場設置届の工事計画には施工について熟知した有資格者を参画させなければなりませんので、施工管理技士の受験をサポートするなど、有資格者の確保も求められます。
また、届出の際の添付書類は各都道府県の労働基準監督署によって変わるため、事前に問い合わせをするなどして正確に把握しておくことが大切です。