足場の点検をするための足場点検実務者研修とは?
足場を安全に設置、使用するためには点検をしっかりと行うことが大切で、労働安全衛生規則でも義務付けられています。
しかし、安衛則が守られずに足場の事故が多発したことにより、複数回の法改正が行われ、ルールが厳格化しています。
足場は足場事業者、注文者共に定められたタイミングで点検を行い、点検記録を保管していなければなりません。
また、点検を実施する者は安衛則で定められた資格を保有している者である必要があります。
この記事では足場の点検と、点検者としての資格である足場点検実務者研修について解説します。
足場は事業者・注文者共に点検する義務がある
平成27年7月改正の労働安全衛生規則では、これまでの事業者による点検・補修に加え、足場の点検・補修が注文者(元請け業者)にも義務付けられました。
足場の点検を行うタイミング
足場の点検義務は足場事業者、注文者にあります。
両者が点検を行うタイミングは以下となります。
事業者の点検…作業開始前、悪天候後、足場の組立て・一部解体・変更後
注文者の点検…悪天候後、足場の組立て・一部解体・変更後
作業開始前の点検以外は注文者にも点検義務があります。
作業前の日常点検は朝の朝礼後などに行うことが一般的ですが、午前中の作業中にも足場の変更が行われている場合もありますので、午前の作業前にも日常点検を実施した方が確実です。
作業開始前以外の点検結果は記録し、保存する義務があります。
悪天候・地震等の後の足場の点検
事業者は強風、大雨、大雪等の悪天候、もしくは中心以上の地震の後には足場作業を開始する前に点検を行い、異常を認めたときは直ちに補修しなければならないとされています。
悪天候、地震の定義については解釈例規で、
強風…10分間の平均風速10m/s以上
大雨…1回の降雨量50mm以上
大雪…1回の降雪量25cm以上
中震…震度4以上
が示されています。
点検項目
足場の点検項目は以下の9つです。
①床材の損傷、取付及び掛け渡しの状態
②建地・布・腕木等の緊結部、接続部、取り付け部の緩みの状態
③緊結材、緊結金具の損傷と腐食の状態
④交さ筋交、幅木、手摺枠、手摺、中さん等の取りはずし・脱落の有無
⑤幅木等の取り付け状態、取りはずしの有無
⑥脚部の沈下及び滑動の状態
⑦筋交、控え、壁つなぎ等の補強材の取り付け状態及び取りはずしの有無
⑧建地、布、腕木の損傷の有無
⑨突りょうと吊り策との取り付け部の状態、吊り装置の歯止めの機能
違反の場合は罰則がある
点検義務違反の場合、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
点検を怠った場合罰則の対象となりますので、事業所内でルールを決めて点検を徹底する必要があります。
足場の点検を行うための資格
足場の点検を行う者は十分な知識・経験を有する者で、足場の組立て等の作業の従事者以外の者が点検を行う必要があります。
ここでいう「十分な知識・経験を有する者」とは以下の取得を保有している人を指します。
施工管理者等のための足場点検実務者研修受講者
足場の組立て等作業主任者能力向上教育受講者
計画作成参画者
労働安全衛生コンサルタント(土木又は建築)
仮設安全監理者
上記のいずれかの資格を保有している人は足場の点検を行う事が可能です。
このうち、「施工管理者等のための足場点検実務者研修」について次の項で詳しく解説します。
施工管理者等のための足場点検実務者研修
足場点検実務者研修の概要
上でご紹介した通り、足場の点検には労働安全衛生法第19条の2に基づき足場についての十分な知識、経験を有する者をあてることとされています。
「施工管理者等のための足場点検実務者研修」は建設工事等の施工管理の実務に従事した経験があり、店社の安全衛生部門で足場の設置計画書の審査、工事現場の安全パトロール等の業務を担当している方で、安全衛生規則に基づく足場の措置や点検を行う者に対する教育です。
受講資格
・建設工事の施工管理の実務に従事し、おおむね3年以上の経験を有する方
・店社安全衛生管理部門で足場の設置計画書の審査、工事現場の安全パトロール等の業務を担当し、おおむね3年以上の経験を有する方
カリキュラム
①災害事例と関係法令(1時間)
・足場からの墜落関連災害事例とその防止対策
・労働安全衛生法令(足場の組立て等関係)
②足場の組立て等の安全施工と保守管理(3時間)
・足場、部材等の種類と特徴
・組立て、変更時の点検のポイントと記録等
・組立て、変更後等の保守管理
修了試験はなく、講習を全て受講後、修了証が交付されます。
当日、遅刻・早退等により規定の時間数を受講しない場合には失格となり、修了証は交付されません。
申し込みと費用
受講料は約1万円程度で、主催者により多少幅があります。
受講料にはテキスト代が含まれており、テキストは当日配布されるのが一般的です。
講習を希望する場合、申込書の資格証明欄に事業主の証明が必要です。
点検と同時に衛生管理も徹底する
安全な工法での足場の組立てと、点検も重要ですが、同時に職場の衛生管理も徹底し、事故が起こりにくい現場にすることも大切です。
安全衛生教育の実施
足場からの墜落・転落災害の9割以上は安衛則に基づく措置が不十分な足場で発生しています。
雇い入れ時の教育や新規入場者教育、朝礼時のミーティングなど、安衛則に基づく措置の効果や必要性、不安全行動による問題点などについて現場のスタッフ全員の理解を深めるよう継続して実施します。
足場の作業床の整理整頓を徹底する
足場の作業床に物が放置されているとつまづきによる墜落事故につながるおそれがあります。
足場の作業床が常に作業しやすい状態になるよう資材や工具の整理整頓を徹底します。
労働者の健康管理に注意を払う
疲労の蓄積や猛暑により睡眠不足などで足元がふらつき、墜落事故につながる可能性があります。
足場上で作業を行うスタッフの健康状態の把握に努めることが重要です。
点検ができる人材の育成も大切
足場点検は足場事業者だけでなく、発注者も規則に基づき定められたタイミングで行う必要があります。
点検を間違いなく実施することができるよう、社内での人員配置はもちろんのこと、点検を実施できる人材の確保や育成も重要となります。
従業員の資格取得には事業者が積極的に推進するとともに、法令で定められた点検をきちんと行うことができるよう、社内ルールの徹底も重要です。
島根県の足場工事は悠新にお任せ下さい。
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