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足場特別教育と作業主任者技能講習の違いは?内容・受講資格を解説


足場の組立て等の業務に関わる方に必要な資格には「足場の組立て等特別教育」と「足場の組立て等作業主任者技能講習」があります。

 

2つは名前が似ているので間違えられがちですが、「特別教育」は足場の組立て・解体・変更に関わる全ての人に必須の資格、「技能講習」は足場の組み立て等の作業を行う現場で作業員の指揮者となるための資格です。

 

この記事では特別教育と作業主任者能力向上教育の違いについて解説します。

 

「足場の組立て等特別教育」とは

足場からの墜落・転落による労働災害を防止するため、労働安全衛生規則では足場の組立て・解体・変更に従事する人は「足場の組立て等特別教育」を修了しなければなりません。

 

全ての足場の組立て作業に関わる方に必須の資格です。

 

受講資格

特別教育は誰でも受講が可能です。
しかし、労働基準規則の「年少者の就業制限」では18歳未満の者に足場の組み立て等の作業を制限しています。

 

18歳未満の方は特別教育の受講は可能ですが、修了証は18歳になってから発行され、修了証の発行をもって足場の組立て等の作業にあたることができるようになります。

 

講習内容

特別教育の講習内容は以下となります。

 

・足場及び作業の方法に関する知識…3時間
・工事用設備・機械・器具、作業環境等に関する知識…30分
・労働災害の防止に関する知識…1時間30分
・関係法令…60分

 

試験はなく、上記の講習を全て受講した後に公布される修了証の発行により特別教育の修了となります。

 

受講方法は主に3つあり、各都道府県に支部がある建設業労働災害防止協会で受講する、労働技能講習協会で受講する、Web講座で受講する、のいずれかとなります。
Web講座のみeラーニングによる最終試験があります。

 

「足場の組立て等作業主任者技能講習」とは

吊り足場(ゴンドラの吊り足場を除く)、張り出し足場または高さ5メートル以上の足場の組立て・解体・変更等を行う場合、事業者は「作業主任者技能講習」を修了済みの人の中から作業主任者を選任し、作業に従事するスタッフの指揮を行わせなければなりません。

 

受講資格

作業主任者技能講習の受講資格は下記のいずれかに当てはまる方です。

 

・足場の組立て・解体または変更に関する作業に3年以上従事した経験を持っている者
・学校教育法による大学、高等専門学校、高等学校または中等教育学校において、土木、建築または造船に関する学科を専攻卒業した者でその後2年以上足場の組立て・解体または変更に関する作業に従事した経験を持っている者
・その他厚生労働大臣が定める者

 

基本的に技能講習の受講資格を得られるのは満21歳以上の方、条件に当てはまる方は満20歳からとなります。

 

講習内容

技能講習の内容は以下となります。

 

・作業の方法に関する知識…7時間
・工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識…3時間
・作業者に対する教育等に関する知識…1時間30分
・関係法令…1時間30分
・学科試験…1時間

 

技能講習は2日間となり、2日目の最後に学科試験が実施され、試験に合格することで資格を取得できます。

 

作業主任者は「能力向上教育」を受講する必要がある

 

概ね5年おきに能力向上教育を受講する

平成21年6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、

 

・足場からの墜落防止措置等の充実
・足場の安全点検等の充実

が図られ、足場にかかる構造や点検について規制が強化されました。

 

これに関連して厚生労働省から足場の組立て・解体・変更等の点検実施者については原則として足場の組立て等作業主任者、元方安全衛生管理者等であって、「足場の組立て等作業主任者能力向上教育」を受講している等、十分な知識と経験を有する者を指名すること、と規定されています。

 

また、作業主任者の選任と概ね5年ごとに事業者による「足場の組立て等作業主任者能力向上教育」の実施が義務付けられています。

 

受講資格

受講資格は足場の組立て等作業主任者で

 

・修了から5年程度経過している方
・能力向上教育を受講してから5年程度経過している方
・その他受講を希望する方

です。

 

作業主任者技能講習を修了していない方は受講できません。
また、作業主任者のみを対象とした講習のため、元方安全衛生管理者等の申し込みはできません。

 

足場の組立て等作業主任者能力向上教育の内容

能力向上教育のカリキュラムは学科のみとなり、労働安全衛生規則の改正部分(足場関係)を中心に講習が行われます。

 

1.最近の足場、部材等及びそれらの選択と管理…1時間
・足場、部材の特徴
・部材等の選択と管理

 

2.足場の組立て等安全施工と保守管理…4時間
・足場の強度計算の方法
・組み立て等の基本的事項と留意事項
・組み立て後の保守管理

 

3.災害事例及び関係法令…2時間
・災害事例とその防止対策
・労働安全衛生法令のうち足場の組立てに関する条項

 

「特別教育」と「作業主任者」の違い

「特別教育」と「作業主任者」の違いは、まず、特別教育は足場の組み立て等の作業を行なう人には必須の資格です。

 

地上または床上での足場材の運搬、整理といった補助作業や足場での高所作業は含まれませんが、特別教育を修了しないまま足場の組立て等の作業をすると罰則がありますので作業に従事する人は必ず受講が必要です。

 

一方作業主任者は作業の監督者としての仕事をするための資格です。
作業主任者は特別教育の上位資格と考えておけば良いでしょう。

 

また作業主任者技能講習は足場の現場を指揮・監督するための資格ですが、特別教育は事業所ごとの安全教育という位置付けとなっています。

 

内容が特別教育が「事業者が行わなければならない安全衛生教育」に対して作業主任者は「個人資格」という位置づけです。

 

安全に足場作業に従事するために資格を取得しましょう

特別教育と作業主任者の違いやそれぞれの講習の内容や受講資格をご紹介しました。

 

建設業界においては足場からの墜落による労働災害が多く発生しており、死亡災害も少なくありません。
労働災害防止の観点から、労働安全衛生法および関連法令では事業者は作業従事者に特別教育や作業主任者能力向上教育を受講させるよう規定しています。

 

足場で安全に作業する上でも資格の取得は必須となります。
1つずつ資格を取得して仕事の幅を広げていきましょう。

 

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