-足場からの部材落下防止のための「朝顔(防護柵)」とは?-
足場からの部材の落下事故はあとを絶ちません。
小さな部材や工具であっても高所から落下すると通行人や近隣住民に大けがをさせてしまったり、大きな損害を与えてしまう可能性がありますので、足場の落下防止措置は欠かせません。
足場の落下防止策にはさまざまな方法がありますが、今回は公道や歩道に隣接する仮設足場を設置する際に必要な朝顔(防護柵)について解説します。
足場の朝顔(防護柵)とは?
朝顔とは、足場に設置する転落・落下防止用の柵のことです。
朝顔の正式名称は「防護柵」と言い、足場に柵を上向きに傾斜させて設置するため、その姿が花の朝顔のように見えることから名づけられています。
また、法令上の呼び方として、労働安全衛生規則では「防網」、建築基準法では「鉄網」という名称で呼んでいます。
足場の上から物品を落としても、朝顔が受け止めるため、通行人に被害を与える事故を防げます。
路面に面した建設現場では、足場から飛び出るように設置します。
朝顔の種類
朝顔には「鋼製朝顔」「アルミ朝顔」「シート朝顔」の3種類があります。
鋼製朝顔
従来からある朝顔で、強度が強く、ある程度重量のある物が落下しても耐えられます。
部材の点数が少なく、運搬や組立てをしやすい点がメリットです。
アルミ朝顔
アルミ材を使用することにより、従来の鋼製朝顔に比べて軽量化を実現できている朝顔です。
鋼製朝顔に比べて運搬や組み立てに負担が掛からない点がメリットです。
シート朝顔
アルミ朝顔よりも軽量な朝顔です。
シート状になっているため、運搬と組立てが容易になり、組立て時も安全を確保できます。
シートとネットによる構造で衝撃を吸収しやすく、軽量でありながら強度を維持できます。
朝顔の設置基準
朝顔の設置基準は建築基準法と、国土交通大臣による通達で定められています。
建築基準法施行令第136条の5
建築基準法施行令では以下のように定めています。
・工事現場の周囲に危険が及ぶおそれがある場合、危害防止のための措置を講じる必要がある
・危害防止のための措置は、国道交通大臣が定める基準に従うこと
国土交通大臣による通達文
国土交通大臣の定める基準とは、昭和42年に「建設工事等の工事現場における落下物による危害を防止するための措置に関する指導基準」として通達されています。
朝顔について、国土交通大臣による通達では次のような設置基準を定めています。
・工事を行う部分が10m以上高ければ朝顔を1段以上、20m以上であれば2段必要
・朝顔は水平面で2m以上突出させ、水平面となす角20度以上必要
朝顔に角度を付けすぎるとせり出し幅が2m以内となってしまい、基準を満たせないため注意が必要です。
また、朝顔が道路にはみ出してしまう場合は道路の使用許可が必要です。
朝顔設置の道路使用許可
道路使用許可で提出する書類
朝顔設置の道路使用許可は、次の3つの書類を道路を管轄する警察署に提出します。
①朝顔の道路使用許可
②朝顔の搬入車が駐車するための道路使用許可
③朝顔の搬出車が駐車するための道路使用許可
必要書類
道路使用許可を取る際には上の書類のほか、次の資料が必要です。
①現況道路及び周辺見取り図
②工程表
③保安図
④交通量調整結果
⑤迂回路略図
⑥広報対策資料
朝顔設置の道路占用許可
道路占用許可とは
道路占用許可とは、道路上、道路の上空、地下に工作物などを設置し、道路を使用することを言います。
道路占用許可は、その道路を管轄している国や都道府県に申請します。
必要書類は案内図、平面図、断面図、現況写真です。
道路占用許可申請の流れ
①市区町村に申請(仮受付)
②警察署で道路使用許可申請をする
③道路使用許可が下りる
④市区町村に申請(本受付)
⑤占用料の納付
⑥許可証受領
朝顔設置の手順
足場に朝顔を設置する手順は次の通りです。
ここでは、朝顔の基本的な形である鋼製朝顔の設置方法をご紹介します。
①フレーム受け金具、斜材受け金具を建枠の横架材に取り付ける
②フレームと斜材を取り付ける
③フレームと斜材をセットしたものを取り付ける
④バンノー板受けを取り付ける
⑤フレ止め材を取り付ける
⑥バンノー板を取り付ける
⑦朝顔の角度を調節する
⑨斜材の吹き上げ防止のボルトを取り付ける
その他の落下防止策
足場からの落下防止策は、朝顔のほかに足場床の隙間対策、安全ネットや幅木の設置などがあります。
床材間の隙間は3cm以下とする
足場からの部品や工具の落下防止策として、床材間の隙間を狭くする必要があります。
床材間の隙間は3cm以下とする必要があり、3cm以下とすることで、物の落下防止だけでなく、足場上でのつまづきや転倒も防止できます。
また、作業員の墜落事故防止のため、作業床の幅は40cm以上と定められています。
足場の床は建地との隙間を12cmとする
足場で高さ2m以上の作業場所に設ける作業床の要件として、床材と建地の隙間を12cmとすることが定められています。
床材が片側に寄ることで12cm以上の隙間が生じる場合には、床材と建地との隙間の要件を満たさないため、床材の組み合わせを工夫したり、小幅の板材を敷く、床材がずれないように固定する、床付き幅木を設置するなどにより、常に要件を満たす必要があります。
安全ネット
足場の床と建地の隙間を12cm未満としていても、作業床の隙間から工具や部材が落下する可能性がありますので、この隙間からの落下防止対策を行う必要があります。
足場の建物側の隙間には落下防止ネットやメッシュシートなどの安全ネットの設置が規定されています。
安全ネットを設置することで、物の落下防止はもちろん、作業員の墜落事故防止にも役立ちます。
幅木の設置
足場からの作業員の墜落防止措置や物の落下防止策として、高さ2m以上の作業場所に設けられる作業床では、幅木の設置が定められています。
幅木は物体の落下防止用としては床から高さ10cm以上のもの、人の墜落防止用としては床から15cm以上のものが必要になります。
足場からの落下防止のため、適切な措置を講じる
足場からの落下防止用の朝顔について解説しました。
足場工事の際には、部材や工具の落下事故防止のため、朝顔、メッシュシート、防音パネル、養生ネット、幅木などを使用して対策する必要があります。
現場の環境や足場の構造に合わせて適切な措置が求められます。
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